近年、企業活動の効果的な評価指標として注目を集めているNPS(ネットプロモータースコア)について、その本質的な意味から実践的な計算方法、さらには顧客満足度(CS)との比較まで、包括的に解説いたします。

本記事では、NPSの基本的な概念から、アンケート調査の設計方法、そして導入・評価における重要なポイントまで、詳細に説明していきます。

NPSを活用することで、顧客ロイヤルティの測定や将来の収益予測が可能となり、経営戦略の立案に役立つ貴重な情報を得ることができます。

また、従業員満足度の向上にも応用可能な、多面的な活用方法についても触れていきます。

NPSの正確な理解と効果的な実施方法を学ぶことで、顧客との関係強化や企業成長の実現に向けた具体的な施策を展開することができるでしょう。

目次

  1. NPS(ネットプロモータースコア)とは?
  1. NPSの計算方法
  1. 事例紹介
  1. NPSの意味、指標としての活用方法
  1. NPSとお客様満足度(CS)の違い
  1. NPS調査方法は2種類ある!
  1. 質問文の表現・設問項目の注意点
  1. NPSを導入、評価する際のポイントを解説
  1. 要注意!日本におけるNPS調査
  1. NPSの目標設定と解説資料
  2. まとめ
  3. M-ONEのご紹介

NPS(ネットプロモータースコア)とは?

NPS(Net Promoter Score)は、アメリカのベイン・アンドカンパニー社が提唱し、世界中で広く採用されている顧客ロイヤルティ指標です。

この指標は、商品やサービス、あるいは企業そのものを友人や家族に推奨したいと思う度合い(推奨度)をスコア化します。

NPSの特徴は、顧客と企業の関係性の強さを数値で表現できることにあります。

これにより、企業は顧客の声を定量的に把握し、顧客体験の改善に活用することができます。

また、NPSは将来的な顧客獲得の可能性や収益予測にも役立つため、経営戦略の立案にも有効です。

さらに、NPSは顧客だけでなく従業員に対しても適用可能で、社内の不満を明らかにし、離職防止にも貢献します。

このように、NPSは多面的な活用が可能な指標として、企業の成長と持続的な発展を支援する重要なツールとなっています。

・NPSを導入するメリット

この指標を使えば、今後得られる可能性のある顧客の存在や収益の予想が立てられるため、経営に活かしやすいことが大きなメリットとなります。

また、お客様だけでなく従業員に活用することで働く側の不満を明らかにし、離職を防ぐことにも役立ちます。

さらに、NPSは簡単に測定できるため、定期的な調査が可能です。

これにより、顧客満足度の変化を継続的に追跡し、施策の効果を迅速に把握することができます。

・NPSは愛着や信頼度を図れる指標

NPSは、これまで計測することが難しかった顧客ロイヤルティを数値化するための指標として広く認知されています。

この指標を用いることで、「企業やブランドに対する顧客の愛着や信頼の度合い」を具体的なスコアとして表現することが可能になります。

このスコアは、顧客と企業との接点となる様々な顧客体験を評価し、改善するための重要な指標として活用されています。

NPSを活用することで、企業は顧客との関係性の強さを定量的に把握し、顧客ロイヤルティの向上に向けた戦略を立てることができます。

・NPSは企業業績や成長性と関係がある

NPSは企業業績や成長性との関連性が高いとされ、欧米を中心に世界の大手企業で採用されています。

日本でも弊社含め、NPS調査のツール・サービスを提供する企業も登場しています。

多くの企業がNPSを重要な指標として活用し、顧客ロイヤルティの向上に努めています。

NPSが高い企業は、顧客からの信頼が厚く、口コミによる新規顧客の獲得も期待できるため、持続的な成長につながりやすいと考えられています。

NPSの計算方法

NPSは『友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか?』という推奨度(オススメ度合い)を聞く質問を通じて、顧客との関係性の強さを定量化することができます。

計算方法自体は難しいものではありませんが、具体的には以下の手順で進めます。

まず、アンケートにより推奨する可能性を質問し、0から10の度合いで回答してもらいます。

この回答に基づいて、回答者を3つのカテゴリに分類します。

次に、それぞれのカテゴリの比率を算出し、最終的なNPSスコアを計算します。

この方法により、顧客の推奨意向を数値化し、企業やブランドに対する顧客の愛着や信頼度を測ることが可能となります。

NPSは簡単に計算できる一方で、顧客ロイヤルティを的確に把握できる指標として広く活用されています。

・推奨度(オススメ度)の分類とNPSの算出方法

NPSの調査では、まずアンケートを通じて商品やサービスを推奨する可能性を質問します。

回答者には0から10の11段階で評価してもらいます。

この回答結果に基づいて、以下の3つのカテゴリに分類します:

  • 推奨者(Promoter): 10点または9点の回答者
  • 中立者(Passive): 8点または7点の回答者
  • 批判者(Detractor): 6点から0点までの回答者

NPSの算出は、これらの分類を用いて行います。具体的には、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値をNPSとします。

この計算方法により、-100から+100までの範囲でスコアが算出されます。

NPSの計算式は以下の通りです:

NPS = (推奨者の割合 – 批判者の割合) × 100

例えば、回答者100人のうち、推奨者が30人、中立者が50人、批判者が20人だった場合、NPSは以下のように計算されます:

NPS = (30% – 20%) × 100 = 10

このように、NPSは簡単な計算で顧客の推奨意向を数値化できる指標です。

事例紹介

NPSの導入や活用によって、顧客満足度の向上や企業の成長につながった実例が多く存在します。

これらの事例は、NPSの有効性を示すと同時に、企業がどのようにしてNPSを活用し、成果を上げているかを理解する上で非常に有益です。

NPSを導入することで、顧客の声をより正確に把握し、それに基づいた改善活動を行うことができます。

また、NPSの結果を従業員と共有することで、組織全体の顧客志向を高めることも可能です。

以下では、NPSを活用して成果を上げた具体的な事例を紹介します。

これらの事例を通じて、NPSの実践的な活用方法や、その効果について理解を深めることができるでしょう。

<事例①:アンケート設計を見直して、課題が明確に>

2022年8月に約2万人を対象とした調査を実施した企業様(BtoB事業)はもともと自社でNPS分析をされていましたが、

  • **「自社で分析をしていたが分析内容が正しいか不安」**「自社で分析をしていたが分析内容が正しいか不安」
  • 「自社のアンケートについて客観的にプロの立場から評価して欲しい」というお悩みがあり、弊社にお問合せくださいました。

過去のアンケートの内容(設問・データ)を拝見し、特に設問の設計について、「一つの質問で広範囲な内容を尋ねている為、設問をもう少し細分化したほうがよい。」というアドバイスをさせて頂き、また「顧客接点で漏れのない設問設定の提案」を致しました。

結果として、問題点が明確になり、NPSもより正確に把握できるようになりました。

また、改善活動のおかげかNPSも5ポイントアップしました。
BtoBのサービスでNPSが5ポイントアップするのは本当にすごいことです。

<事例②:じゃらんの評価が3.7から4.4へ>

実際にお客様満足度(CS)向上の取り組みを強化した結果、見事にお客様満足度(CS)が上がったホテル メイプルイン幕張様の事例をご紹介します。

まず、NPS調査で「お客様の声」を全従業員で共有して、地道に改善活動を繰り返し実施。お客様満足度(CS)向上を目指した結果、NPSが上昇、クチコミの評価が上がり、さらには従業員のモチベーションアップにまでつながりました。

じゃらん評価:★3.7(開始時) → ★4.4(2022年4月現在)

この事例は、NPS調査を活用することで、具体的な改善点を特定し、効果的な対策を講じることができた好例といえます。

全従業員で顧客の声を共有し、改善に取り組むことで、短期間で大幅な評価向上を達成しています。

このような取り組みは、ホテル業界に限らず、様々な業種でも応用可能な有効な手法であると考えられます。